ただの飲み物でなく、ただのお酒でもない。ワインは芸術の一部であり、ワインを学ぶことは歴史や地理、文化や言語まで知ることでもある。ブドウの品種や産地、味わいだけでない、広義のワインを知ることで、普段会えないような方と出会うことも出来る。教養として、ビジネスツールとして、ワインの魅力をご紹介していきます。
日本では日本ワインがブームらしい。シンガポールでは日本ワインの存在感は薄く、ローカルのワインショップやレストランで見つけることはほぼない。
ワインの場合、ニューワールドと言われつつも既に十分認知されているアメリカやオーストラリア、チリ、アルゼンチンなど多くの生産国があり、そういったところにリーズナブルで美味しい選択肢がたくさんあるなかで、ワイン産地としての知名度が相対的に低く、値段が高くなりがちな日本ワインは外に出ていきにくいのだろう。私自身は、自分が日本人であること自体が動機になっているので時々日本ワインを飲む。適当に選んで美味しいワインに出会うことはなかなか難しいと思うのだけれど、友人に勧められた日本ワインはできるだけ試すようにしていて、好みの味を見つけたときはとても嬉しい。
Grace Wineは山梨県甲州市の中央葡萄酒というワイナリーが手掛けるワインのブランドで、有名な甲州という日本の伝統品種のほかに、シャルドネやメルロなど欧州系品種のワインもある。国内外で様々な賞を受賞されている有名なワイナリーなので、ご存知の方も多いのではと思う。海外展開に力を入れられており、嬉しいことにシンガポールにも輸出されている。
キュヴェ三澤はGrace Wineの中でも最高級のラインで、カベルネソーヴィニヨンやメルロなどをブレンドした赤ワイン、シャルドネ100%のBlanc(白ワイン)、甲州100%の明野甲州(白ワイン)に加え、Grace Blanc de Blancsというシャルドネ100%のスパークリングワインがある。
日本ではどれも人気で入手しにくいイメージがあったのだけれど、有難いことにシンガポールで、ローカルの方も交えた知人とのワインディナーで初めてキュヴェ三澤Blancをいただいた。まろやかで上品なバニラと青りんごのような香りに優しい果実味があり、ブラインドテイスティングで供されていたので、その場にいる誰もがブルゴーニュのグランクリュかプルミエクリュの名前を挙げていた。それが日本ワインだったのだから、とても驚いた。正解を知ってからあらためて味わってみて、同じワイナリーの他のワインにも感じた香りをふと思い出した。
また機会があれば、できれば長時間の輸送の必要がない日本国内で、一度是非いただいてみたい。そして私も、いつかブラインドテイスティングの会に何食わぬ顔で持参して、友人達を驚かせようと思う。
<おススメのタイミング>
日本国外のブルゴーニュワイン好きの方へのお土産に・繊細な日本料理とあわせて・穏やかな気持ちになりたいときに
Writer|青木里沙 (One&Co ホットデスクメンバー)
三重県出身、シンガポール在住。東京で働いていた2016年に、ひょんなことから思い立ってJSAワインエキスパートの資格を取得。ワインを学ぶ過程でできた素敵な友人達のおかげで座学よりも実践が必要と身に染みて感じ、そこからは楽しい修行の日々。夢はワイナリーを所有すること。One&Coのバーカウンターで「Risa’s Bar」を運営している(不定期)。
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