One&Coでは、日本在住の外国人が商品の審査を行い日本の優れた工芸品を認定していくOmotenashi Selectionとコラボレーションし、受賞作10点を展示中です。One&Coを利用される皆様に、コロナ禍で行き来ができない(2020年9月現在)日本の歴史や文化、技術、その美しさをシンガポールで体感して頂きます。ビジネスマンにとっての日常空間であるコワーキングスペースで、様々な日本の工芸品を見て触れて、さらに日本人コミュニティコンダクターがその機能性やデザイン、作者のバッググラウンドなどを紹介していきます。
今回は、縁付け金箔の素材を生かした「うすびきディッシュ」を制作されている五明金箔工芸の五明 久さん(四代目)にお話を伺いました。
―― まずは事業内容について教えていただけますでしょうか。
五明金箔工芸は二代目が修業、金箔押し技術を習得。その技術を受け継ぎ仏像・台座といった仏壇仏具の金箔押しから、ティファニーのアクセサリーやヴィトンのオブジェの加工まで幅広く手掛けています。私共は京都の箔押し師として高水準の技術によって作り続けることにより信頼を得、ティファニー社をはじめ大阪城や京都市役所、京都岡崎みやこメッセ、祇園祭の鉾頭など、多方面から箔押しのご依頼をいただき、さらに金箔消し粉(金箔を水の中で粉にした高級な粒子)加工の分野でも特別発注を頂戴し、多数の納品をさせて頂いております。さらに現在では、中国上海SHANGXIA社の作品制作にも携わっています。
―― 受賞された感想を教えてください。
日本の手作り金箔である「縁付け金箔」の素材としての素晴らしさを、「うすびきディッシュ」によって世界へ発信できるきっかけになったことが最高に嬉しいです。
―― 商品への思いを教えてください。
既に海外でも工芸品として広く販売されているカテゴリーですが、その素材の素晴らしさをより一層引き立てる技術が、世界一薄く、美しい縁付け金箔にはあるので、是非活かしたいと思い制作を開始しました。ただ縁付け金箔がきれいに見えればよいというものではなく、素材の美しさを縁付け金箔が脇役として魅せることができれば最高です。
―― 商品化までに、悩みや苦労した部分はありますでしょうか。
やはり素材との相性もあり、合わない素材や作品も多くあり、その見極めに苦労しました。
―― 今後商品への「課題」や「可能性」はありますでしょうか。
様々な素材を金箔でチャレンジしています。想定していない、想像できない可能性がまだまだ眠っていると思います。
―― 今後の意気込みをお願いします。
「縁付け金箔には、無限の可能性がある。」そう信じて取り組んでいきます。
プロフィール:五明 久さん
1963年9月14日 京都市生まれ
2000年 京仏具伝統工芸士の称号を受ける
2004年 経済産業大臣伝統産業奨励賞受賞(伝統産業・仏具青年会への功績)2011年 京都市「未来の名匠」第1期認定
2015年 東久邇宮文化褒賞受賞
2018年 東久邇宮平和賞受賞