One&Co | OMOTENASHI Selection 2020特別展示④ / 青森のねぶた祭りの躍動感を多彩な色使いで表現した逸品「津軽びいどろNEBUTA」
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2020.09.16

OMOTENASHI Selection 2020特別展示④ / 青森のねぶた祭りの躍動感を多彩な色使いで表現した逸品「津軽びいどろNEBUTA」

One&Coでは、日本在住の外国人が商品の審査を行い日本の優れた工芸品を認定していくOmotenashi Selectionとコラボレーションし、受賞作10点を展示中です。One&Coを利用される皆様に、コロナ禍で行き来ができない(2020年9月現在)日本の歴史や文化、技術、その美しさをシンガポールで体感して頂きます。ビジネスマンにとっての日常空間であるコワーキングスペースで、様々な日本の工芸品を見て触れて、さらに日本人コミュニティコンダクターがその機能性やデザイン、作者のバッググラウンドなどを紹介していきます。

本記事では、日本の四季を表現し、青森県伝統工芸として選ばれた手作りガラス「津軽びいどろNEBUTA」北洋硝子さん(石塚硝子グループ会社)をご紹介します。


色鮮やかな「津軽びいどろ」で、青森を少しでも元気にしたい。


―― まず始めに、事業概要について教えてください
青森県伝統工芸品 「津軽びいどろ」指定工場として、ガラステーブルウェアやインテリアの企画・製作・販売などを手がけています。

―― 受賞したのはどのような商品でしょうか。
「津軽びいどろNEBUTA」は、青森県の夏の風物詩で東北三大祭りである「青森ねぶた祭」の華やかで表情豊な「色合い」を表現した商品です。日本の夏の食文化や食卓そのものを身近なものに感じてもらうため、日常使いの器であることを大切にしています。日本の暑い夏の食卓で定番の、冷たいそうめん、冷やっこを入れる鉢類や、冷えた日本酒などを楽しむための酒器類など。商品からは、お祭りの象徴でもある「ねぶた」が街を彩る灯の雰囲気や「青森ねぶた祭り」ならではの躍動感を感じられます。


―― 商品への思いはどのようにお感じでしょうか
40年以上の歴史をもつ「津軽びいどろ」の前にもともとあった「ねぶたシリーズ」は、工藝的で不透明な色濃い風合いのものでした。青森らしいモチーフである「ねぶた」をより多くの方たちに知ってもらいたい、との想いから配色を見直し、幅広いラインナップと、透明感を生かしビビットでカラフルな色合いの仕様にした商品が今の「津軽びいどろNEBUTA」です。日本の夏の食卓に涼を感じてもらえる商品ラインナップは、今やフラッグシップ的な存在となっています。

―― 商品化までにどのような苦労や悩みがありましたでしょうか
商品ブランドとして歴史がある「津軽びいどろ」も、2000年代のデフレ基調な日本経済の中、単なるモノづくりやハンドメイドと言った訴求の仕方では、そのブランドや商品に興味や関心が持たれにくくなり、看板であった「伝統工芸品」だけで強みや付加価値を打ち出すことが難しく、ブランドの存続すらも厳しい状況になっていました。特徴あるブランドとして育てるため、2014年にリブランディングを敢行。「四季」「手作りの温かみ」「青森のストーリー」を重視したリ・ブランディングの中心となる商品の1つとして「津軽びいどろNEBUTA」を誕生させました。


―― 現在どのような「課題」と、その先に「可能性」を感じていますでしょうか。
これまでも愛着を持ってもらえるモノづくりと、「青森」という地域性を強く発信してきました。そうした発信を繰り返すことで、“ブランドらしさ”が定まり、今日に至っています。今後は青森県の伝統工芸品として、更に地元企業や自治体と連携し、社会課題の解決や地域発展に貢献できる「ブランド」まで成長させたいと考えています。

―― 今後の意気込みをお願いします。
世界中を混乱に陥れている新型コロナウイルスの感染拡大は、日本全体や日本の地域経済にも深刻な打撃を与えています。色鮮やかな「津軽びいどろ」で、青森や東北の方々を少しでも元気にしたい。私たちは「色彩豊かな色ガラス」や「作り手の想いや情熱」といった商品開発ストーリーと共に、モノづくりに励んでいきます。

壁屋 知則さん プロフィール
北洋硝子株式会社代表取締役社長 1968年生まれ 愛知県出身
創業200年企業の石塚硝子株式会社に1990年に入社。首都圏での営業職を経て、2016年に同社の食器事業部門「ハウスウェアカンパニー」の商品開発部長を務める。2018年に連結グループ会社の北洋硝子株式会社代表取締役に就任。